バレエの演目のひとつ『ラ・バヤデール』は古代インドが舞台となっていて、バレエでは珍しいエキゾチックな衣装なども楽しめます。
『ラ・バヤデール』のあらすじや登場人物の役名などもご紹介します!
バレエ『ラ・バヤデール』の登場人物
ニキヤ…インドの寺院の舞姫
ソロル…戦士
ガムザッティ…ラジャ国王の娘
ラジャ…国王
大僧正
バレエ『ラ・バヤデール』幕ごとのあらすじ内容
古代インドの寺院につかえるバヤデール(舞姫)のストーリーで、全三幕での構成が多く上演されています。
第一幕(第一場)
インドの戦士たちが寺院に帰ってきます。中でも虎を仕留めたのはクシャトリヤのソロル。
クシャトリヤは王族・武人階級にあたる上位階級の立場です。
英雄のソロルは密かにバヤデールのニキヤと愛し合う関係にありました。
ニキヤは寺院の舞姫の中でもひときわ美しい娘です。
そんなニキヤに想いをよせ、自分のものにしようとたくらむ別の男がいました。
それは聖職者である大僧正です。
大僧正は無理やり迫り、強引に自分のものにしようとしますがニキヤは拒絶します。
逃げたニキヤはソロルのもとへ行き、愛を確認しあいました。
第一幕(第二場)
宮殿では、ラジャ(国王)が勇敢なソロルを気に入って自分の娘ガムザッティと結婚させようとしていました。
まだソロルに会ったこともないガムザッティでしたが、肖像画を見ると胸をときめかせて喜びました。
そしてラジャのもとに呼ばれたソロルがやってきます。
ラジャから娘ガムザッティーと結婚せよと命令されて戸惑いましたが、その時王女であるガムザッティが現れました。
一目見たソロルはガムザッティの美しい姿に圧倒され、心が揺れてきました。
ラジャにより、侍女たちがジャンペの踊りを披露しています。
そんな中、悪いことを企む大僧正がラジャのもとにやってきました。
ニキヤを自分のものにするために、ソロルとニキヤの関係を王のラジャに密告し、ソロルを罰してほしいと考えていたのです。
しかしそれを聞いたラジャは、ソロルではなくニキヤをこの世から消すと言い始めました。
大僧正は慌てて止めますがラジャは話を聞きません。
その様子を見ていたガムザッティは、ニキヤを呼び寄せました。
そしてソロルは自分と結婚するから身を引くようにと、代わりに高価な腕輪を与えようとします。
しかしニキヤは受け取らず一歩も引きません。
ニキヤは聖なる火の前で誓った愛は永遠のものだとガムザッティに言います。
その話を聞き、王女ガムザッティは激しく怒ります。
第二幕(第一場)
戦士ソロルと王女ガムザッティの婚約式が始まりました。
ラジャはニキヤもこの場に呼び、踊りでみんなを楽しませるように命じます。
まともにニキヤを見ることができないソロルと、憎しみの目で監視するガムザッティ。
ニキヤは悲しみをいっぱいに表現して踊ります。
そしてニキヤへ花かごのプレゼントが侍女によって手渡されます。
ソロルからの贈り物だと言って渡されたプレゼントに、ニキヤはソロルの心が完全に無くなったわけではないと安堵します。
その時、花かごの中から毒蛇が出てきてニキヤのことを噛みました。
このプレゼントはソロルではなくガムザッティが仕組んだことだったのだ、と気が付きますが、毒が回り倒れてしまいます。
事態を予測していた大僧正は自分のものになるなら助けようと言って解毒剤を渡しますが、愛するソロルがガムザッティと一緒にいるのを見て絶望し、解毒剤を使いませんでした。
そしてそのままニキヤは息絶えてしまいました。
第二幕(第二場)
ソロルはニキヤを裏切って失ってしまった悲しみから幻覚症状の出る薬を使ってしまいます。
眠ったところに精霊たちが天からやってきて、美しく踊っています。
その中で出てきたニキヤに許しを請い、ソロルは一緒に踊りました。
踊りが終わって目が覚めると、結婚式の時間となり使者たちが連れて行こうとします。
ソロルは拒絶しつつもガムザッティに断りきれず結婚式の場に行くことになりました。
第三幕
始まってしまう結婚式。
準備の中では聖なる火への誓いを破ろうとする行為に警鐘を鳴らすかのように、仏像が動き出し、黄金の仏像の踊りが始まります。
ガムザッティはいまだにソロルの気持ちがないことを分かっていたので、振り向いてほしいと舞いを踊りました。
ソロルは起きていても幻覚症状が続いていて、ニキヤの亡霊がガムザッティとの間に入ってきたり、誓いを忘れないようにと助言が聞こえているかのようです。
そして、ついに結婚の誓いを立てることとなり、ソロルとガムザッティは大僧正の前で手を重ね合わせようとします。
とその時、聖なる火の誓いを破った神罰が下り、大きな稲妻と雷鳴とともに寺院が崩れ落ちました。
ラジャ、大僧正、ソロル、ガムザッティを含む結婚式の場にいた全員が寺院の下敷きとなってしまいました。
バレエ『ラ・バヤデール』初演と舞台背景
1877年にロシア西部のサンクトペテルブルクで初演が行われた『ラ・バヤデール』はマリウス・プティパ振付の作品です。
マリウス・プティパ(Marius Petipa)はバレエ『白鳥の湖』『くるみ割り人形』や『ドン・キホーテ』なども振り付けを担当していて、現代でも上演されている作品が多く残っています。
プティパ自身も若き頃はバレエダンサーとして活動していて、父親もバレエ振付師、母親は女優、そしてプティパの兄もバレエダンサーと振付師というバレエ一族ですね。
『ラ・バヤデール』はヨーロッパでは1961年に初めて上演され、エキゾチックな古代インドの舞台が人気を博しました。
初演当時のオリジナルでは全員が寺院の下敷きになってしまうという話ですが、舞台での結末は幻覚で終わる「影の王国」や下敷きになったニキヤとソロルが天国で一緒になるなど、アレンジが加えられているものもあります。
[aside type=”boader”]『ラ・バヤデール』…原題:La Bayadère(インドの舞姫)
ロシアでは『バヤデルカ』、フランスでは「神とバヤデール』(Le Dieu et la bayadère)という名称もあります。[/aside]
ラ・バヤデール(バレエ)の幕ごとのあらすじ内容を簡単に紹介!のまとめ
ニキヤの悲恋の物語ではありますが、ラストにアレンジが加えられているバージョンがあると少し救われた気持ちになりますね。
あらすじストーリーの背景を知っておくことで、舞台で観るときも踊る時も、感情豊かに踊る姿を楽しめるかと思います。
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